前回は痺れについてお話をしました。
食事編の記事を読んでいただく前に、この手術を受けた方なら必ず通る道でもある流動食について、少しでも知識をつけていただきたいと思い、解説していきます。
退院後もミキサー食を摂取する期間があります。
もちろん、病院や手術の内容によっては刻み食となる場合もあります。が、全ての食べ物をすぐに食べれるわけではないので、ミキサーに頼る場面があるかと思います。
病院でそれぞれ栄養士さんから説明を受けて、冊子など渡されると思うので、ある程度は割愛しますが、当人以外の方にも知ってもらいたいので、できるだけ詳しく書いていきます。
流動食生活は周りからの支援もかなり助かるので、大変であることを知っていただきたいというのと、顎変形症以外にも顎の手術だったり、介護にも通じるものがあるので、参考になればと思います。
区分
まず初めに、流動食にも区分というものが存在します。
これは介護の現場でも使われているもので、自分がどこの区分かを理解していると、レトルトを買うときや自分が食べる際の参考になります。
「ユニバーサルデザインフード」とは、日常の食事から介護食まで幅広くお使いいただける、食べやすさに配慮した食品です。
その種類も様々で、レトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品をはじめ、飲み物やお食事にとろみをつける「とろみ調整食品」などがあります。
ユニバーサルデザインフードのパッケージには、必ずマークが記載されています。
退院時から術後1ヶ月くらいまでは、私の場合【区分4】となっていました。なので、ひたすら咀嚼という行為をすることなく、ストローで飲み続けていました。
その後、術後1ヶ月経って固形物を食べても良いと言われてからは、【区分2】くらいにレベルアップしました。
術後2ヶ月の現在は、【区分2】と【区分1】の間かなと思います。これは料理を作るときにも参考になります。
バランスよく食べる
流動食はどう頑張っても普通食より味や栄養素が薄くなってしまいます。そのため、普通食を食べていた頃よりも、かなり栄養バランスを考えて摂取しなければなりません。
もちろん、あまりに気負いし過ぎると疲れてしまうので、根底に置いておけば気をつけて食べることができます。
家庭科の授業で習ったと思いますが、食には「主食・主菜・副菜・汁物・その他」で分けることができます。特に、主食・主菜・副菜は抜かすことなく摂取したいものです。
- 主食 エネルギーが摂れるカロリーの高いもの=体を動かすのに大事
- 主菜 体の血や肉なるもの=体を作るのに大事
- 副菜 ビタミンやミネラルが摂れるもの=体の働きを調整するのに大事
汁物の代表である味噌は、大豆製品で体の血や肉となります。プラスして日本人の体の作りからして大豆との相性はバッチリなので、付け加えるといいと思います。
私は病院で暖かい味噌汁を飲むと、お腹が減っていなくてもかなり気持ちも体もホッとしたので、オススメです。
その他は果物などを摂るといいと思います。エネルギーの元となるのでオススメです。
また、便秘を解消してくれる役割があり、ヨーグルトと一緒に食べるともっと良いです。ちなみに1日1〜2回食べると良いとのこと。
主食、主菜
主に日本人であれば主食はお米になると思います。そのお米をまずは重湯もしくはおかゆにしていきます。
重湯などは作らなくてもレトルトが売っていたりするご時世なので、簡単です。おかゆも簡単に作れるので、ここはあまり大変じゃないかもしれません。
私の場合、余ったご飯や冷えたご飯をおかゆにして、ミキサーにかけていました。
五分粥を作るのですが、300gのご飯に対して1500mlの水を入れて、弱火で20分くらいコトコトと火にかけて、約10分ほど蓋をして蒸らせば完成。
ジップロックや容器に何個かに分けて入れて冷凍しておけば2日〜3日は持ちます。
いちいち作るのはかなり面倒なのでまとめて作れば、お腹が空いたらすぐにミキサーにかけて食べることができます。ミキサーにかけるときは水をちょっとずつ足して、よき緩さに調整してください。
ちなみにパンがゆもあるので、ご飯に飽きたら作ってみるのもありです。牛乳とバターでひたひたにして煮る。出来上がったらミキサーにかける。はちみつとかジャムでまた違う味を楽しむことができます。
主菜としては、玉子豆腐や茶碗蒸し、豆腐や大豆製品類。他にも魚介類や煮物、シチュー、スープ、汁物が挙げられます。
これらに限られないので、とりあえずミキサーにかけられて、尚且つ水っぽくなればなんでもいけます。
肉や魚はミキサーにかけると、最初つみれのようになるので、そのあとに水を適量入れて、調節します。
重湯に入れるので少し粘度が強くても問題ありません。そういう風に混ぜる場合などを考えて調節するといいと思います。あまりに水でシャバシャバに調節すると味も薄くなってしまうので注意です。
焼き魚に関しては、経験上苦味しか残りませんでした。煮付けとか味が濃いと問題ないと思います。
野菜類に関しては、繊維質なものが多いと思いますが、歯磨きをしっかりできないこの時期には、致命傷な矯正器具に挟まるという事件が起きてしまうので、極力避けたほうがいいです。
ですが、ミキサーにかけて跡形もなくなれば問題はないと思います。(現に私はなんでもかけまくって飲んでました)でも野菜をたくさん摂るのは難しいので、野菜ジュースで手っ取り早く補ったほうが楽です。
ポイント
ミキサー食を作る上でのポイントとして、葉物野菜は茎の部分が繊維でできているので、どうしても食べる場合は葉っぱのみを選んで食べるといいと思います。
またこちらも繊維でできている生姜も絞り汁のみ使用する。
海藻やこんにゃく類も繊維が強いので、ミキサーには向きません。ミキサーが回らないっていう事件が起きると思われます。
ピーナッツなどの豆類もペーストになっているものを使用すると、矯正器具にはさまったりせずに食べることができます。
個人的に経験として、味噌汁を具ごとミキサーにかけてもいいんですが、あまり良くはなかったです。なので、家族と暮らしている場合には汁だけ拝借するとか、もしくはお椀に味噌とだしの素を入れて、お湯を注いで出来上がりって言った簡単なものでも十分美味しかったです。
熱すぎるとストローやシリンジで飲むときに危険なので、気をつけてください。
補食
ミキサー食は栄養素が薄くなってしまうということと、あまり腹持ちは良くありません。
1ヶ月くらい続けていると体が勝手に慣れて、お腹が減るってことは減りますが、体力も持久力も落ちてしまいます。
そこで、ミキサー食以外に栄養を補う、補食を取り得たほうがいいです。
補食に適したものとしては、【高脂肪・高タンパク・高カロリー】であるものです。
例えば、アイスクリームや牛乳、飲むヨーグルト、プリン、こしあん、ゼリー飲料にあたります。
ゼリー飲料だと、馴染みのあるウィダーインゼリーが有名かと思います。ゼリー飲料はたんぱくが含まれていないものもあるので、できるだけ3つの要素が含まれているものを補食とするといいです。
他にも、入院している際に出される濃厚流動食です。
100mlで200カロリーを摂ることができるものなど、少量で効率的に摂取することができます。
いろんな会社が製品を販売しており、いろんな味があります。
ベースとなる部分は同じなので、好き嫌いがかなり分かれます。
私も病院にいるときには一切口入れられなかったので、大変でした。
結局、退院後にココア味が美味しいことに気がついて、たまに飲んでいます。1パックも小さいので、持ち運びにも便利で、外出時(働いているときなど)にも最適です。
入院食
退院後は自分で作ったりしなくてはならないので、入院してる際の入院食はかなり参考になるので、メニューなんかを見ておくといいと思います。
主に卵料理が多くて、だんだん卵の風味に嫌気がさしてきます。たまに違う味が来た時の喜びといったら!
ミキサーにかけると色も変わってしまって、正直メニューを見てもどれがどれだかわからないです。なので、匂いとか口に入れたときにやっとわかる。
思い出としては、肉団子のトマト煮が美味しかったかな。。トマトという味の濃いものがかなり良かったです。
親子丼が出て来たときには、流動食で食べたくなかったなーってかなり思いました。やっぱり、カレーだったり麻婆豆腐のように濃いめの味付けだと、流動食でも楽しめます。
サイト紹介
濃厚流動食や、レトルト商品を購入する際に便利なサイトをご紹介しておきます。
まとめ
入院中も噛みたい衝動に駆られて、頭もおかしくなりそうになります。
発狂しそうになって硬いもの食べちゃうんじゃないかって思ってましたし。
病院でもそうですけど家に帰って来て、テレビで流れる食レポの映像とか食べ物のCMがかなり、精神的にやられます。喉から手が出るほど食べたいのに、食べられない…
私は、結構食べ物にそこまで執着や興味がない方でしたが、この私でも禿げそうなレベルでした。辛かった。
食べるのが好きな人は、かなりストレスになると思うので、覚悟しておいたほうがいいです。
そして、周りの方達もミキサー食を手伝ってあげてください。
退院後は精神的にもナイーブになっていると思うので、サポートしてあげてください。
決して、ミキサー食真っ只中の人の前で、氷や飴玉、せんべいなんかを…
バリボリ噛んだりしないであげてください。
多分襲われます。気をつけて!!
でも、一つ言えるのは長い人生の中のたった1ヶ月です。
顔の腫れが治まってくる頃には、ミキサー食から固形物が食べれるようになっています。
戻りたくはないけれど、あっという間に終わります。大丈夫、工夫すればなんとでもなります。
ただただ、「食べれるようになったらこれを食べるんだ!」って気持ちで乗り越えましょう。